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言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書) [ 橘玲 ]
価格:880円(税込、送料無料) (2019/12/12時点)





 へっぶしんです。 橘玲氏の著書を連続で読んでいます。著者の主張にはあまり共感できませんが、事実の認識においてはかなり近いものがあるように思えます。

 各種の統計結果や政治の方針を見る限り、これからは一部の富裕層が莫大な資産を築く一方で、ほとんどの人間が貯蓄すらできない下流層に転落する格差社会になってしまいそうです。

 著者は、その格差社会を受け入れて次の社会を考えるという立場を持たれていますが、私は格差を縮小させる方法はないものかと考え続けたいです。

 「あがきつづけて」でも、みずからの自由を求め続けたいです。


 本体カバー内側より、

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この社会はきれいごとがあふれている。人間は平等で、努力は報われ、見た目は大した問題ではない――だが、それらは絵空事だ。往々にして、努力は遺伝に勝てない。知能や学歴、年収、犯罪癖も例外ではなく、美人とブスの「美貌格差」は訳3600万円だ。子育てや教育はほぼ徒労に終わる。進化論、遺伝学、脳科学の最新知見から、人気作家が明かす「残酷すぎる真実」。読者諸氏、口に出せない、この不愉快な現実を直視せよ。
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 私は、自分が住む世の中は、努力が報われる社会であってほしいと思っています。ですから、たとえ貧困家庭に生まれたとしても、努力次第で社会階層を登っていける社会が理想的です。しかし現在の日本では、親の収入と学歴に相関関係があり、裕福な家に生まれれば、多少ひとより才能がなく、努力を怠ったとしても、裕福な一生をおくれる社会です。現在の総理大臣や財務大臣を見ればわかるでしょう。

 アメリカでは、上位の1%の富裕層が社会の富の42%を独占する社会になっています。日本はそこまでは格差が開いていないようですが、前回の記事で日本の世帯収入の没落ぶりを書きましたが、確実にじわじわと中間層が没落しています。

 1995年には日本の世帯年収の中央値が545万円だったのが、2015年には427万円と20年間で128万円も下がっています。1世帯で働いている人数、高齢化率などを無視しているので、単純に給料が下がったという言い方はできませんが、中間層が地盤沈下していることは間違いないでしょう。この傾向は、今の政権が続く限りは変わらないでしょう。10月に消費税が上がったとたんに、社会保障費の削減を言い出す政権ですから、国民が貧困にあえごうがどうしようが、自民党・公明党の閣僚・議員には興味がないのでしょう。

 さて、著者は具体例をアメリカに求めていますが、人種間で知能が異なるということが遺伝の研究で明らかになっているようです。そして、知能によって収入が異なるという知識社会になっているというのが筆者の社会の見解です。この見解には、同意せざるを得ません。日本のみならず、欧米だけではなく、発展途上国においても、学歴による収入差が確認できるようです。アメリカでは、黒人奴隷の反省からアファーマティブアクションという黒人優遇政策がとられていますが、現在の研究ではこの政策はあまり機能していないということです。

 また、最近はトランプ大統領(共和党)支持者がどういった境遇の人間なのかという説明で、プアホワイト(低学歴・低収入の白人)を挙げています。「白人だという以外に自らのアイデンティティのよりどころがない人たち」が、トランプ大統領を支持しており、この層は、元中流の工場労働者たちだとしています。そして、日本のネトウヨの説明でも、「日本人という以外に心のよりどころを持てない人」だしています。日米の政権支持層は、現政権から恩恵を受けている富裕層・エリート層と、現政権から見放されて、切り捨てられている新下流層という対照的な2つの層だというのです。

 ネトウヨについては、ネットで色々と見たり、実際にSNSで絡まれたりして、どんな生き方をすると政権に隷従することに喜びを覚えて、自分が不利になる政策をする政党支持するのか不思議で仕方がないのですが、著者と同じような説明が多いです。 また、不都合で残酷な真実として、フェミニストが激怒しそうな事実を挙げています。イスラエルで、子どもに対して性差のない教育を施して、家庭の方針が入り込まないように、共同生活させても、ほとんどの子どもが、成人後に選ぶ職業はステレオタイプとされるような男の職業・女の職業を選ぶようです。

 私自身も経験から、小さい我が子を抱く妻を美しいと感じ、とても幸せそうに見えたことを今でも覚えています。私自身は、男性も女性も自分の望むように自己実現をできる社会が良いと思っています。また、自分が育った家庭では、共働きで、圧倒的に母親の方が収入が多かったので、「男は一家の大黒柱」という言葉を、未だにバカバカしく思っています。ただ、どうしても意識から抜けないのは、母親の収入を自分が稼ぐことができない自己嫌悪感です。妻も働いていますが、世帯年収が、自分が育った家庭には到底及びません。そのため、社会階層において没落しているという焦燥感を覚えるのです。

 自分の思考は自分で組み立てるものだと思っているのですが、「寝ながら学べる構造主義 [ 内田 樹 ]」の記事でも書きましたが、様々な環境によって自分の思考が縛られているということに気づきました。さらには、今回の本では、趣味などですら遺伝に縛られているというのが最新の科学の知見だというから驚きです。

 遺伝子の研究がすすむにつれて、この本のタイトルのように、「残酷すぎる真実」がさらに明らかになっていくでしょう。本当に目をそむけたくなるような研究結果が並んでいますが、逆に遺伝とは関係のない、本人の努力で自分が規定されるようなものもわかっていくでしょう。

 それにしても、子育てですら無駄だという研究結果は、受け入れがたいですよね。何とか自分の力で子どもを周りの子どもよりも有利な状態で社会に題したいと願っているにもかかわらず、もはやあなたは自分の子どもへの影響力を持っていないと宣告されるのですから。

 脳科学には興味があったのですが、遺伝子研究はあまりフォローしていませんでした。ただ、遺伝子研究の動向についても、時間が許す限り、私の知能で理解できるレベルでフォローしていきたいです。


 今回の本で、読みながら繰り返し頭をよぎったフレーズが、「努力とは何だ?」ということです。現在の自分は、今までの自分の怠惰の罰によって苦しい生活を強いられているという風に考えていました。就職活動をせずに大学を卒業し、生まれて初めて社会的な地位がない状態になった時に、自分の社会における存在意義がないことに大きな焦燥感を覚えました。そこから就職活動を始めましたが、大卒後の新人に手を差しのべる会社はほとんどありませんでした。なんとか採用になった零細企業で働き始めましたが、そこは偽装請負で間に何社もマージンを取る会社が入り、某大企業の製品開発現場が人生最初の職場でした。当時の大企業は、今よりも景気は良かったので、海外で発売する製品の品質保証テストのために、約半年、海外出張というものもできました。ただ、同じ大学の友人たちは、自分よりももっと待遇として恵まれているのだろうなという劣等感にさいなまれ続けました。

 しかし、ずっと報われてないと思っていた自分の待遇が、実はロスジェネ世代としてはしぶとく生き抜いている状態だったのだと、最近になってようやく気付きました。ただ、気付くというのは、統計結果を見て驚いたということで、日々の生活をする中では、自分の生活レベルを客観視することはできないのだと反省しました。
 それが、今回の本では、自分の想像以上に今の自分が遺伝子によって規定されているのだということに驚きました。ただ、自分がどれだけ遺伝子によって規定されている部分が多いと言っても、自分の意識で変えられるところはどこなのかを、研究結果をフォローしながら調べ続けていきたいです。

 「あなたはヒトという種の存続の過程の単なる一部品なのですよ。」と言われて、個々と良く感じたり、安心したりする人は少ないでしょう。いい年をして、未だに自分とは何なのかを探し続けていますが、自分で変えられる自分とは何なのかを知りたくなりました。


 著者は、橘玲氏です。 1959年生まれ。作家。国際金融小説『マネーロンダリング (幻冬舎文庫)』『タックスヘイヴン (幻冬舎文庫)』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方新版 知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫)』『幸福の「資本」論 あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』など金融・人生設計に関する著作も多数。

 『言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)』で2017新書大賞受賞。近著に『もっと言ってはいけない (新潮新書)』『働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる』『人生は攻略できる』など。

 よろしければ、こちらのくりっくをよろしくお願いします。



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