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十字軍物語 第四巻 十字軍の黄昏 (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]
価格:649円(税込、送料無料) (2019/10/10時点)





 へっぶしんです。

 何とか、最近読み終わった本だけでも、ブログにしていきたいと自分に願いながら休日を過ごしています^^;

 そして色々あって、日曜日がつぶれそうなので、休みが週1日になりそうです^^;

 今回は、『十字軍物語 第三巻 獅子心王リチャード (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]』の続編で、十字文物語の最終巻です。1095年のクレルモン公会議でローマ法王ウルバン2世の呼びかけで始まった十字軍ですが、1270年のルイ9世の第8回十字軍で終わりを迎えます。

 十字軍とは何だったのか、何がもたらされ、何を失ったのか。日本で言えば平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての時代に、ヨーロッパ・中近東で起こっていたことの物語です。



 作者は塩野七生氏です。


 塩野七生氏は、学習院大学文学部哲学科を卒業後にイタリアに遊学され、多数の著書を書かれています。全巻読破したいくらいなのですが、多すぎます^^;

 主な著書に
ルネサンスの女たち (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]

海の都の物語(1) ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫) [ 塩野七生 ]

ローマ人の物語(1) ローマは一日にして成らず 上 (新潮文庫) [ 塩野七生 ]

など多数あります。

[概要]

帯より

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 惨澹たる終戦
 
 最後に何が残ったのか

 王たちが夢見た「十字軍国家」は中途の地図から消えてしまうのだが・・・・・・
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  歴史の物語は、一気に読んでしまいますね^^;

 塩野氏の筆力に翻弄されてしまいます^^;



 歴史の物語を読んでいると、100年・200年という時間があっという間に過ぎてしまいますね。実際には、書かれていることよりもこまごまとしたことがあって、2、3日で読み終わるような単純な出来事ではないのですが、それでもストーリーがしっかりしていると、まるで目の前で起こっている出来事のように感じながら読み進めてしまうから不思議なものです。


 今回は、ほとんどがローマ法王庁への批判に近いストーリー仕立てになっています。ベースには、膨大な史料を読み込んだ塩野氏の豊富な学識があります。それに基づいて書きだされているので、史実通りの出来事に塩野氏の想像が加えられたストーリーになっています。


 第4巻は、ローマ教皇に嫌われた神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の第6次十字軍から始まります。アラブ人が多く住むシチリアで生まれ育ち、アラビア語をも使うことのできる異色の神聖ローマ帝国皇帝は、第6次十字軍(1228-1229)において、交渉による講和という方法を用いて、無血でイェルサレムを回復します。しかしイェルサレムの奪還は、「キリスト教徒血を流して成し遂げるもの」だと考えているローマ教皇庁には、この業績が無視されます。逆に「不信仰の徒と交渉」したことで、評価を下げることになります。


 一方で、1248年から始まる第7次十字軍、1270年の第8次十字軍を率いたフランス王のルイ9世は、「聖人」に列せられます。第7次・第8次十字軍の業績が大きなものだったかどうかというと、第7次では、十字軍が丸ごと捕虜になるという屈辱的な結果に終わります。この影響で、キリスト教の軍隊に対するイスラム国家のイメージが大きく損なわれます。さらに、この時に活躍したマメルーク(マムルーク?)という元奴隷のイスラム兵士へのイメージが、イスラム世界の中でよくなります。それによって、エジプトでマムルーク朝が成立します。さらに第8次十字軍では、上陸して戦闘準備をしている最中に疫病が発生し、現地でルイ9世が亡くなり、空中分解のような形で十字軍が終了します。


 聖地を(軍隊という圧力はかけつつではありますが)平和裏に、イェルサレムの回復に成功した神聖ローマ皇帝のフリートリヒ2世は、破門を解かれるどころか、評価を下げました。


 逆に何の戦果もなく、逆にイェルサレムの地でキリスト教の権威を下げ、中近東にキリスト教徒の足場を失うという「成果」を出し、自らが中東の地で露と消えたルイ9世は聖人に列せられます。


 中世とはいえ、「人は見たい現実しか見ない」ものなのでしょうか。


 第4巻は、特に現代の日本に生きる私たちへ多くの問題を提起しているように思えます。


 人は誰かから認められたいという認知欲求によって社会性を身につけていくものだと思います。しかし、「人から認められる」、「人から評価される」ために、ただ人気を集めればよいのでしょうか。上司から気に入られるために仕事をすればよいのでしょうか。教師の前でいい子にしていればいいのでしょうか。


 中世において、戦争とその戦果を冷静に分析できるエリートは、ほとんどいなかったようです。本当に一部のリーダー層だけが、冷静に情勢を分析することができたようです。


 民主主義の時代になった現代はどうでしょうか。リーダーの政策の「成果」を、冷静に分析できる国民がどれだけいるのでしょうか。私自身はニュースを見るたびに、いやな気分になります。ただ、私はただの一般人で、学識も知識もたかが知れています。私は私の現在、将来のくらしを想像したときに、政府の政策が自分にとってプラスかマイナスかという軸でしか、政府の政策を判断しません。


 憲法の三大原則のひとつに国民主権があり、基本的人権があるという点において、現代の国民国家の視点としては、それでいいのではないでしょうか。もちろん、ニュースの中で、貿易政策では自由貿易から保護貿易への流れというものも感じています。これは、保護貿易が行き過ぎれば、第2次世界大戦を引き起こす結果になったブロック経済になる危険性をはらんでいます。しかし自由貿易政策を進めて、全世界の貿易が関税なしの「フラット」な状態になったら、完全なる弱肉強食経済が完成して今います。これは、産業革命が始まった初期のイギリスの経済状態に戻ることを意味します。


 ニュースを見るときに、このように歴史と関連付けながら、どうなったら自分が住みやすい未来に近づくのかと考えています。


 さて、今の日本はどこに向かっているのでしょうね。。。


 よろしければ、こちらのくりっくをよろしくお願いします。



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