へっぶしんです。

 なかなか仕事が落ち着かないのと、文豪の名著を相手にしていたので、なかなか更新ができませんでした^^;

 19世紀のロシアの言わずと知れた文豪のトルストイの名作です。日本では幕末から明治の初期にあたる年代を生き、ロシア革命直前に没したトルストイが見ていた貴族の生活が、まるで目の前で展開されているかのように感じました。 

 古典的な名著は味わい深いですね。




 著者は、トルストイです。

 19世紀ロシア文学を代表する巨匠。ヤースナヤ・ポリャーナに地主貴族の四男として育つ。

 ルソーを耽読し大学を中退後、暫く放蕩するが、従軍を機に処女作『幼年時代 (岩波文庫) [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ]』等を発表、賞賛を受ける。

 帰還後、領地の農民の教育事業に情熱を注ぎ、1862年の幸福な結婚を機に『戦争と平和(全6冊セット) (岩波文庫) [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ]』『アンナ・カレーニナ(上巻)改版 (新潮文庫) [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ]』を次々に完成。

 後、転機を迎え、「神と人類に奉仕する」求道者を標榜し、私有財産を否定、夫人との不和に陥る。

 '99年『復活(上) (岩波文庫) [ レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ ]』を完成。1910年、家での10日後、鉄道の駅長官舎で波乱の生涯を閉じた。




 19世紀のロシアを舞台に、黄昏時の貴族の世界が書かれています。テーマは、生と死、愛と嫉妬、友情などの人生における人間関係で起こりうることを、様々なストーリーで描写しており、緻密な構成で読者を飽きさせない名作です。

 文庫本なのに、3冊合わせて2400ページくらいあり、読みごたえが抜群にありました。

 主役のアンナの兄のオブロンスキーが、浮気がもとで離婚の危機に直面している場面から始まりました。愛を何とか取り繕い切った兄に対して、妹のアンナは愛に殉じます。

 19世紀の貴族の結婚観が生き生きと描かれています。アンナは20歳年上の夫と結婚し、良い妻を演じ続けますが、ヴロンスキーと出会ってしまいます。ヴロンスキーと新の愛に目覚めてしまったアンナは、夫であるカレーニンと暮らしていくことはできなくなります。この辺りのアンナの心境を、男の私が推し測ることはできません。しかし理性では、倫理的には、問題のある不倫ですが、その禁断の恋の渦中にあるアンナの心境が緻密に描写されています。

 また、アンナの親友で、ストーリー最初で夫オブロンスキーに浮気されてしまったドリイ婦人は、アンナの禁断の恋、禁断の生活を客観的かつ冷静に見つめます。夫との愛は冷めてしまい、5人の子どもに囲まれて、自らのことは後回しにして家庭を切り盛りする生活に疲れたときに、アンナに会いに行きます。しかし、アンナとヴロンスキーの生活を目の当たりにして、いてもたってもいられなくなり、家庭に戻ります。家族の温かさを知るものと、恋に生きていても家族のぬくもりを実感できないアンナとの対比は、深く考えさせられました。理想の女のアンナと、一般的な主婦のドリイですが、この2人が互いに理解し合う親友だという設定も興味深いです。

 そして、トルストイが自らを重ねていたという田舎貴族の理想主義者のリョービンは、ドリイの妹のキチィと、紆余曲折は経たものの理想的な結婚をします。しかし、その生活はあまりに現実的でした。理想と現実の間に葛藤を重ねながら、自らの領地の農事経営に没頭して、一家の長としての務めを果たしていく姿に、地味に感動しました。

 リョービンの生活の中でも、あまり馬の合わない新進気鋭の学者である兄コズヌイシェフとのなんとなくうまくいかない距離感と、心ではつながっているが、放蕩のはてに病死する兄ニコライの対照的な人生という対比も考えさせられました。

 複線的なストーリーと緻密な構成が、素晴らしかったです。さすがは、古典的名著です。


 格差社会の話や中学受験の話ばかりで、小説を読んでなかったなと思い、ここ2,3か月は小説が増えています。人間とは何なのかを、物語を通して考えていますが、貴族についての考え方が若干変わったように思います。


 領地の民とともに地に足をつけて生活する貴族もいれば、19世紀のロシアでは、モスクワ・ペテルブルグで豪華な生活をしている貴族もいる。立派な人間もいれば、堕落した人間もいる。様々な貴族がおり、ひとくくりにしてはいけないのだと、今更ながらに気づきました。


 また、生涯勉強を続けなければならないなと、小説を読んで改めて思いました。特に現代の技術の進歩から背を向けてはならないなと。ただ、何でもかんでも新しいものが優れていて、古いものは淘汰される運命にあるわけではなく、新しさと引き換えにして、大切なものを失い続けているかもしれません。特に現代の核家族化による家族の結びつきの弱まりには気を付けなければいけないと、危機を感じました。


 私はサービス業という仕事の性質上、ここのところほとんど友人づきあいができていません。家族とは、なんとか週2回の休日にまとまった会話ができるくらいです。近くに住んでいるにもかかわらず、実家には月に1回か2回しか顔を出しません。


 アンナ・カレーニナでの貴族の交友の仕方を見ていると、現代では失われてしまいつつある濃厚な人間関係の大切さに改めて気づきました。

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