日本人へ(国家と歴史篇) (文春新書) [ 塩野七生 ]
日本人へ(国家と歴史篇) (文春新書) [ 塩野七生 ]

 へっぶしんです。

 2月の繁忙期を、ほぼ乗り切りました^^;

 若干気が抜けてて、今日の休みもネットを見たり、カフェに行って読書をしてきたりした後、昼寝をしてしまいました。^^;せっかくの休みをもったいない過ごし方をしてしまいました。


 3回連続になっていますが、去年読破した文庫本43巻立てのローマ人の物語(1) ローマは一日にして成らず 上 (新潮文庫) [ 塩野七生 ]の著者の塩野七生さんのエッセイを読みました。

 随筆(エッセイ)なので、サクサク読めましたが、塩野氏の海外から日本を見たときの視点が面白かったです。




 著者は塩野七生氏です。

 学習院大学文学部哲学科を卒業後にイタリアに遊学され、多数の著書を書かれています。全巻読破したいくらいなのですが、多すぎます^^;

 主な著書に
ルネサンスの女たち (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫) [ 塩野 七生 ]

海の都の物語(1) ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫) [ 塩野七生 ]

ローマ人の物語(1) ローマは一日にして成らず 上 (新潮文庫) [ 塩野七生 ]

など多数あります。

[概要]

帯より

--------------------------------------------------------------------------------
 ローマの衰亡は500年

 日本の衰亡は20年

 ならば、どうする?

(混迷の時代に希望の灯をともす 「ことば・言葉・ことば」43本

--------------------------------------------------------------------------------

表紙の内側

--------------------------------------------------------------------------------

 日本人へ 国家と歴史篇

 夢の内閣をつくってみた。大臣たちは、私が慣れ親しんできたローマの皇帝にする―治者とは?戦略とは何か?現代日本が突き当たる問題の答えは、歴史が雄弁に物語っている。大好評『日本人へ リーダー篇』につづく21世紀の「考えるヒント」。
--------------------------------------------------------------------------------

 私と共通の好みが、本の帯が好きだということです。これは、妻には理解されないので、フェチになるのでしょうか。出版社が本を売るために、必死になってひねり出した本の紹介で、とても力の入ったものではないでしょうか。

 だから本の内容への期待が膨らむ、力強いことばのように感じています。なかなか、自分の好みを言葉にするのは難しいのですが、簡単に自己分析をしてみました。


 自分で自分を守ろうとしない者を誰が助ける気になるか。
 -ニコロ・マキアヴェッリ


 本編の冒頭で著者の塩野氏が引用した、『君主論』で有名なマキャベリの言葉です。塩野氏自体は、日本は憲法を改正して自衛隊によって、国を防衛すべきだと考えています。この考え方については、私は受け入れられないのですが、塩野氏のローマ史を書かれた経歴からは、主張の根拠は理解ができます。


 また、塩野氏の著作がいつ書かれたのかを、きちんと追っていないので何とも言えません。しかし、塩野氏が興味を持っているマキャベリ自体も、16世紀のイタリアの都市国家では当然であった傭兵制度を批判して、自国であるフィレンツェに常備軍を持たせることに情熱を傾けた人であることを考慮すると、国家が自衛軍を持つというのは当然という発想を持たれているのでしょう。


 さて本書は、43編の短いエッセイからなっています。


 これを大きく3つの章に分けています。

--------------------------------------------------------------------------------
 機)換颪糧畄爐箸蓮⊃雄爐欠乏するから起こるのではなく、人材はいてもそれを使いこなすメカニズムが機能しなくなるから起るのだ。
 (「『ローマ人の物語』を書き終えて」より)


 供〔瓦寮府をつくってみた。大臣たちは、私が慣れ親しんできたローマの皇帝にする。
 (「夢の内閣・ローマ篇」より)


 掘 屬呂犬瓩妨斥佞△蠅」とは、最後まで「言葉ありき」なのである。
 (「仕分けで鍛える説得力」より)
--------------------------------------------------------------------------------


 なんだか、これだけで本の内容が手に取るようにわかってしまいそうで、編集の緻密さに舌を巻いてしまいます。ちなみに私は、巻き舌ではしゃべりません。。。


 2010年に初版が発行されているので、10〜15年前の日本の状況について書かれています。全体的には、政治の話が多いのですが、塩野氏の政府間としては、改革好きであるように思えます。また、安定した政局が、改革を貫徹するためには必要なので、与党は安定多数を持っている状態がいいと考えられています。


 逆に政権基盤の弱い内閣は、よろしくないと考えられているようです。


 ただ、現代の状況についての見方は大変に柔軟で、一時帰国されたときに、懐かしの民主党政権の「仕分け」を見られた時には、官僚の説得力の無さに驚愕されたと感想を述べられています。ここでも、改革という動きを相対化して、どうすれば改革を貫徹できるかといった視点から意見を書かれています。内容について細かく把握をして、一つ一つを取り上げるといった思考の仕方はしていないように感じました。


  「ブランド品にはご注意を」という1編では、現在のイタリア製のブランド品について書かれいます。イタリア製のブランド品で、MADE IN ITALYにして良いのは、イタリア政府はその製品の30%がイタリア国内で作られていればよいという基準にしているようです。さらにその30%のイタリア国内でも、ブランドの下請けで作業をする人が、不法入国の中国人が使われているようです。したがって、現在では70%を中国で作り、残りの30%をイタリア国内で製造している「正規品」も、日本にはMADE IN ITALYとして輸入されているようです。最近は、ブランド品をありがたがる風潮がなくなり、安ければいいという風潮の方が幅をきかせています。そのような状況の中でなんともグローバルな状況になっているものだと思いました。


 これが書かれていた15年くらい前ですら、こんな状況で、今では服であれば外注先は中国ですらなくて、ベトナムやインドネシアなどの、さらに人件費の安い地域に工場が移動している。


 この中で、塩野氏が危惧されていたのが、熟練の職人の喪失です。日本でも、伝統的工芸品を作る技術を持った若者が育たないことが問題になっており、熟練の職人の喪失は文化の喪失にもつながるので、私も心配をしていることで、共感を覚えました。また、安かろう悪かろうの商品に囲まれて育つと、じっくりと腰を落ち着けてものごとに取り組む姿勢や、深く考える姿勢を失ってしまうのではないかと心配になります。


 次にイタリアの難民の事情ですが、「昔・海賊、今・難民」という1編が印象に残りました。ヨーロッパの中でも、地中海のアフリカ方面に向けて長靴状(私はロングブーツだと思っている)に突き出ている地形のため、政情不安のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアなどから、ゴムボートなどに乗って難民が押し寄せているそうです。最近の日本に老朽化した漁船に乗ってくる北朝鮮の難民と重ねて考えてしまいました。


 ただ、地中海の南端にあるアフリカ諸国と北朝鮮が重なったことに興味を覚えたのではなく、千年のベネツィアの歴史を書いた塩野氏の著作である海の都の物語(1) ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫) [ 塩野七生 ]
で書かれていた、イスラム教徒の海賊の出発地と、難民の出発地が重なるという箇所に興味を覚えました。古代ローマ帝国が衰亡してからの中世のヨーロッパは、フランス・スペインでは絶対王政に向かって、強大な王権を確立していき、イギリスが追随しました。しかし、ドイツ・イタリアは、領邦国家や都市国家が残っており、統一国家の建設が遅れていきます。そこにローマ教皇の権威が絡み、イタリアは、フランス・スペインからの圧力と、イスラム教国のオスマン帝国の海軍に徴集されることがある北アフリカの海賊の脅威にさらされ続けていきます。


 その北アフリカ諸国から、今度は難民の脅威にさらされているというのは、歴史の皮肉でしょうか。それとも、地政学的に切っても切れない関係にあるために起きている現象でしょうか。それにしても、人口5000万人のイタリアに、年間50万人もの難民が押しかければ、政治的な問題に発展するのも致し方ないことでしょう。


 随筆を読むと、いろいろなことが想像できて、とても楽しい時間を持てますね♪


 このブログを読んでいただいた方には、是非、本書もご一読いただければ幸いです。


 よろしければ、こちらのくりっくをよろしくお願いします。

日本人へ(国家と歴史篇) (文春新書) [ 塩野七生 ]
日本人へ(国家と歴史篇) (文春新書) [ 塩野七生 ]