へっぶしんです。

 久しぶりに、格差と社会と中学受験という本来のテーマに戻り、格差社会について読みました。

 個人的には、会社員として働いても、周りの人間よりも生活レベルが低いように感じていて、生活が苦しいと思っています。その実感を、論証してもらえた気がする一冊です。

 現在の日本では、中間層は階層転落の恐怖とともに生活を送らざるを得ない社会状況になっているようです。我が家も、共働きで何とか日々の生活をやりくりしていますが、私か妻のどちらかが働けなくなったら現在の生活を維持できなくなります。どちらかの両親の介護が必要になり、その料金を払わなければならなくなったら、現在の生活を維持できなくなります。

 今の生活を維持するのが精いっぱいで、ここから生活が良くなるという希望は持てません。筆者の主張しているように、今の生活が維持できなくなったらという恐れとともに日々の生活を送っています。

 なぜこのような状況になっているのかが書かれている本書を、ぜひご一読ください。




 著者は山田昌弘氏です。

 東大文学部を卒業後に東大の大学院社会学研究科博士課程を単位取得後に退学されて、現在は中央大学の文学部教授をされています。

 主な著書に、
【中古】近代家族のゆくえ—家族と愛情のパラドックス【中古】

家族のリストラクチュアリング 21世紀の夫婦・親子はどう生き残るか [ 山田昌弘 ]

【中古】 パラサイト・シングルの時代 ちくま新書/山田昌弘【著】 【中古】afb

希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫) [ 山田昌弘 ]

【中古】 新平等社会 「希望格差」を超えて / 山田 昌弘 / 文藝春秋 [文庫]

など多数あります。

[目次]
序章  「底辺への競争」とは何か
第1章 下流化する中年パラサイト・シングル
第2章 パラサイト・シングルが発見された時代
第3章 多様化とリスク化にさらされる若者
第4章 「格差」にさらされた最初の世代
第5章 高止まりする非正規化・未婚化
第6章 日本以外でも増えるパラサイト・シングル
第7章 「底辺への競争」の末路
終章  脱「底辺への競争」に向けて


帯より

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 「底辺への競争」から逃げきれるか?
 15年ほど前にアメリカでベストセラーになった『The Race To The Bottom』(2000年、日本未訳)という論考があります。(中略)
(著者の)トネルソン氏は、グローバリゼーションが進む中、
世界規模で繰り広げられる経済競争によって、
労働者の賃金も社会保障も、
最低水準まで落ち込んでいく様相を
「底辺への競争」と名付けました。(「はじめに」より)
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 私は、帯が大好きなのですが、本を売るためのキャッチフレーズとして、本の内容をとてもコンパクトにまとまっています。そして、いつも衝撃的です。


 本書のタイトルでもある「底辺への競争」は、アメリカの本の日本語訳のようですが、私の生活の実感をとてもよく言い表しているように感じます。


 その中で、第5章の高止まりする非正規化・未婚化の内容が特に、私の日々の実感と重なりました。


 1970〜1979年生まれのアラフォー世代が、最初に格差を経験した世代で、「底辺への競争」の先頭を走っている世代だと筆者は定義しています。バブルがはじけた後に就職活動をして、大量のフリーターを生み出し、努力しても給料が上がらずに食べていくのが精いっぱいという生活を強いられている層と、正社員になれた層で格差が広がっているとのことです。


 そして、そのアラフォー世代を見て育ったアラサー世代の特徴として、女性に専業主婦志向が復活していると著者は指摘しています。「結婚せずに、恋に仕事に充実した人生を送る中年女性なんて、結局、メディアの中にしかいなかった」(『クロワッサン症候群』松原淳子、1988年、文芸春秋)から、「安定した収入の男性と結婚した女性ほうが、いい生活をしているじゃないか。結局、結婚しなかった女性は負け犬じゃないか」(『負け犬の遠吠え』酒井順子、2003年、講談社)へと女性の意識が変化した中で結婚適齢期を迎えているのがアラサー世代だということです。そのために、専業主婦志向が復活しているというのが筆者の見解です。それも難しいと悟っているのが二十歳前後の女性で、共働きを続けられる一般職志向が復活しているとのことです。


 さらに、今の大学生に「大学を卒業して、何になりたいか」と聞くと、「正社員」と答える学生が多いそうです。筆者は、中央大学の教授をされていますから、難関大学の学生の目標が正社員になることというのは、何とも夢のない社会だなと残念になります。


 結婚に関しては、アラサー世代では、「あきらめる」という意識をもつ人が増えているようです。正社員でないと、結婚生活を営むことができない社会になってしまい、就職に失敗してしまった人は将来に夢を持てずに、結婚をあきらめていくという状況が今の日本だということです。


 これよりもさらに悲惨な世代が、現在の二十歳前後の世代で、1990年代のバブル崩壊後の不況で親がリストラなどにあったために小さなころから格差社会を生きてきた世代です。アラサー、アラフォー世代は、自分が就職できなくても、親にパラサイトするという逃げ道があったが、二十歳前後の世代では、親も頼れない世代だと筆者は指摘しています。この世代は、若いころから生活が破たんしていて、それが再生産される社会になる危険性があると、筆者は警告しています。 


 現在の日本では、少子化が進んでいるために、少子化対策が急務となっています。しかし現実は、二歩も三歩も先を行っているようです。現在の正規雇用・非正規雇用の比率はおおむね6:4くらいになっています。本書では、エビデンスとしてのデータが示されていませんが、このところの「好景気」で、若者の比率に限っては若干の改善がみられるようです。しかし、様々な本やインターネットのコラムなどで示されていますが、年収300万が結婚をできるかどうかのラインになっているようです。あくまでも統計上のデータでの話ですが。そうすると、正社員になれなければ結婚ができない社会だと言えます。4割の若者が、結婚が現実的でない状況で社会に放り出されるというのは、とても残念です。


 自分の境遇を嘆いている場合ではない状況になっていることに驚きを隠せません。結婚できることが、勝ち組の条件になる社会というのは、あまりにも悲しいです。しかし、高齢化も相まって、若者が夢を持って将来を語れる世の中ではなくなっているようです。


 団塊世代が75歳以上の働くことができない高齢者になり、団塊ジュニア世代には就職難の影響で結婚できなかった層が形成されて、少子化が止まらなくなった。さらにその子供たちである現在の二十歳前後の世代は、社会に出た時点で、生活が破たんしている層がある。


 少しでもいいから、もっと希望の持てる社会になってほしいなと、強く願います。

 よろしければ、こちらのくりっくをよろしくお願いします。