へっぶしんです。

 中学受験と格差社会を中心のテーマとして、本を読み続けています。別に読書家というわけではありませんが、テーマに沿った本をネットで探しては買って読んでいます。そして、最近は本棚から本があふれ始めてきて再配置や家族へマンガの処分を頼むとかの整理をしなければならなくなってきています。


 今の世の中は、欲望を全肯定する新自由主義社会に突入しており、「稼ぐことは悪いことか?」などと大真面
目な議論が行われた時代もありましたよね。資本主義を基本として社会ができている以上、稼がなければ生活ができないので、当然に稼ぐことは大切です。しかし、儲かれば何でもいいというのとは、話が違うのは当然の話です。また、欧米には「ノーブレス・オブリージュ(高貴なるものの義務)」という考え方があります。これは、生まれたときの家の環境で、その後の人生の有利不利が決まるという当然の状況に対して、上流階級に生まれた人は相応の社会還元の義務を負いましょうね。という考え方です。


 最近のニュースを見ていると、日本にはまったく馴染みのない考え方ですね。


 さて、今回は、東京都の特別区(23区)内の人口の動きについての本です。少し視野を広げて、市部について書いた内容もありますが、あくまでも都心部との対比というかたちでの記述でした。




 筆者は、私の本棚ではお馴染みの三浦展(みうら・あつし)氏です。一橋大学社会学部を卒業された後に、パルコでマーケティング誌の編集長を務められた後に、三菱総合研究所勤務を経て、カルチャースタディーズ研究所を設立されています。精力的に調査・著作活動をされています。主な著作に

【中古】 あなたの住まいの見つけ方 買うか、借りるか、つくるか / 三浦 展 / 筑摩書房 [単行本]【ネコポス発送】
下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書) [ 三浦展 ]
東京郊外の生存競争が始まった! 静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ [ 三浦展 ]
第四の消費 つながりを生み出す社会へ (朝日新書) [ 三浦展 ]
【中古】ファスト風土化する日本 郊外化とその病理 /洋泉社/三浦展 (新書)

などなど、多数あります。


 内容はかなりマニアックで、「大久保1丁目では20歳の87%が外国人」、「東雲1丁目だけで子どもが2400にん増加」、「女性未婚者増加数は港区港南で1300人」など、特別区と市部だけではなく、町の丁目までみて、特徴的な動向を分析されています。


 格差社会に興味を持って読むと、ハイクラスは港区や中央区、千代田区の都心に住む傾向があるようです。そして、23区内でも住む地域によって収入の格差が広がっていて、3倍もの差があると指摘されています。


 あとがきにも、かなり控えめな目立たない女子のように、こそっとマニアックな内容になったと書かれていますが、かなりマニアックな内容になっています。興味を持たれた方は是非ご一読いただきたいです。

 〔目次〕
 はじめに
 第1章 大久保1丁目では20歳の87%が外国人!!
 第2章 港区と足立区の格差は1.57倍から3.06倍へ
 第3章 中央区の30−50代の未婚女性は6000人も増えた!
 第4章 多摩市の出生率1.16は渋谷区の1.07とさして変わらぬ低水準
 第5章 郊外に可能性はあるのか?
 あとがき



 本のメインテーマから離れて、自分が興味を持ったところを拡大化して読むという、自由な読み方を続けています。今回は、私の読書のメインテーマである格差社会にからみ、第2章の所得格差と居住地についてに興味を集中させました。というか、そこしか見えない状態で読みました。


 港区と足立区の収入の格差が、現在は3.07倍あるようです。この事実は、衝撃的なのか、今の時代では当然なのか。そして、港区に住んでいるアッパークラスはどのような仕事をしているのか。さらには、高齢化率の自治体による差異はどうなっているのか。などが書かれており、格差という言葉に執着している私としては、おもちゃを与えられた子どものように、むさぼり読みました。


 ただ、統計調査だけでは不明なことも多く、新たな興味をそそられる記述もありました。2節のタイトルですが、「「自由複業者」が都心を豊かにしている?」となっています。「自由複業者」ってなんだ?アッパークラスの仕事が変わってきているのか?という疑問です。これに対して著者は、


 ・ITエンジニアだが、ライターでもあり、写真もとるし、デザイナーでもある
 ・筆者⇒著述家でもあり、プランナーでもあり、メディアを作ることもある
  ※筆者は、「国勢調査」には、「調査研究」と書いているようです


 というように、いくつかの種類の仕事を、自営業で掛け持ちしており、主副の関係ではなく、それぞれが収入の柱になるような「複」業の人が多いようです。23区全体でも非雇用者に占める割合は53%もいるとか。どうやって稼いでいるのでしょうか。。。


 このあたりのルポのような記事があればいいのですが。


 あとはこの章では、最近人気になりつつある地域なども書かれており、変貌し続ける都市の中で、これから栄えるところと、若干後退している場所などが書かれています。





 最後に、89ページに特別区内の生活保護世帯の受給率が高い区のグラフが載っています。1位台東区、2位足立区、3位板橋区、4位荒川区となっています。トップの台東区は、なんと7%を越えています。特別区であっても、7%を超える世帯が生活保護を受けているというは衝撃です。


 捕捉率というのがあり、日本ではこれがかなり低いようなので、生活保護を必要とする人は、実際に生活保護を受けている人の数倍はいるようです。この捕捉率を考慮すると、貧困・格差社会が確実に進行しているという事実につきあたります。


 みんなが安心して暮らせる社会になってほしいです。 



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