〔重版予約〕日本が売られる/堤未果【1000円以上送料無料】

価格:928円
(2018/10/24 11:24時点)
感想(0件)




 へっぶしんです。

 日本がアメリカの属国のように、アメリカの言いなりになり続けていることに疑問を持つ方も多いと思います。普通に考えると、自国内に他国の軍隊が駐留し続けているということは異常なことなのですが、日本の安全保障を考えると、自前の軍隊を憲法9条で持つことができない以上はある程度は仕方がないことなのかもしれません。しかし、自前の軍隊を持たないからと言って、政治の主権を放棄する必要はないのではないでしょうか。


 もう10年以上前になりますが、拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる (文春新書) [ 関岡英之 ]に衝撃を受けましたが、日本人が稼ぎ出した富がアメリカに売り渡されている状況は、当時よりもさらに深刻になっていることに対して、本書では警鐘を鳴らしています。



 一人でも多くの方に本書を手に取っていただいて、現在の対米追従性策の愚かさについて考えていただきたいです。




 著者の堤未果氏は、ニューヨーク州立大卒でニューヨーク市立大で修士号を取得されている国際ジャーナリストの方です。数々のアメリカの新自由主義政策の矛盾を、豊富な取材をもとに書かれた著書が多数あります。

また、参議院議員の川田龍平氏を夫に持つ方でもあります。


 私が同氏の著書に興味を持ったのは、ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書) [ 堤未果 ]を読んだ時です。シリーズを読みました。教育、医療、保健などが、新自由主義の先頭をひた走るアメリカではどうなっているのかが書かれており、日本にはマネしてほしくないと強く思ったことを覚えています。




 まえがきでは、イラク戦争に従軍した元アメリカ兵のエピソードが書かれており、非常に印象的でした。


 「「日本には前から行きたかったんだ。水と安全はタダといわれる国で、どこへ行っても安全で美味しい食べ物があるなんて最高だ。」」という他国の人間が日本に対して持っている印象が、徐々に政治によって奪われつつあることを、本書では警鐘を鳴らしています。


 現在、ほとんどの日本人が知らない「水道の民営化」や福島原発汚染土だけでなく原発の売り込みのネタとして、汚染土の引き受けをしていたり、種苗法の改悪で一部の多国籍企業が独占する遺伝子操作をした種子を有害物質であるネオニコチイドの農薬とセットで受け入れるようにになっていたりと、日本の売国政策を次々と暴露しています。


 さらに、高度プロフェッショナル法案によって、労働者の定額働かせ放題の問題も暴いています。また学校や医療、介護保険の問題についても書かれており、自分と関係ないと問題に関心を寄せていない間に、どんどんと1%の金持ちが、99%の貧困層から搾取する社会に変貌させるための日本政府の政策を列挙しています。


 ぜひとも、現在の日本、これからの日本について、国民全員考えて行動し、民主主義を守りたいです。そのためにも、本書のご一読を推奨します。


 まえがき いつの間にかどんどん売られる日本!
 第1章 日本人の資産が売られる
 第2章 日本人の未来が売られる
 第3章 売られたものは取り返せ
 あとがき 売らせない日本





 私が特に印象に残ったのは、第2章5項の「学校が売られる」です。公立学校の公設民営化やバウチャー制度の問題は、崩壊するアメリカの公教育 日本への警告 [ 鈴木大裕 ]を読んですでに知っていました。しかし、アメリカの行き過ぎた新自由主義って恐ろしいなくらいの対岸の火事くらいにしか考えていませんでした。




 ところが、すでに日本でも国家戦略特区という法律を通さずに、自治体レベルの判断で政策が決定できる制度を隠れ蓑に、日本でも実験が始まっているということです。




 何度か書きましたが、最近の読書のテーマは、格差と教育(中学受験)になっているのですが、日本の教育の崩壊の序章の幕が切って落とされていたことに驚きを隠せません。ゆとり教育の導入から始まった、新自由主義者たちが、無産市民層を奴隷化するための国民の知性を劣化させる政策が、ゆとり教育の早い段階での失敗でとん挫したと安心していました。しかし、アメリカの教育を崩壊させた公立学校の公設民営化の日本への導入の地ならしがされつつあります。


 問題点は、現在でも大阪府の中学校の非正規職員の割合が40%くらいだそうですが、これが100%になるということです。新自由主義者たちは、人件費を抑えられ、「競争によって安くて良質の教育を実現できる」というお決まりの文句を言うでしょう。しかし、下手をしたら本すらまともに買えない低賃金の教員の提供する授業がはたして「良質」なものになるのでしょうか。




 国鉄の自由化で、地方の赤字路線が廃止されて過疎化が進みました。郵政民営化では、それまで赤字ではなかった決算が、大幅に赤字になりました。民営化推進論者たちは、失敗に対して反省することなく、ひたすらに「競争化によってサービスは向上する」と繰り返しますが、日本の民営化は失敗続きです。教育まで民営化しても大丈夫なのでしょうか。


 アメリカでは、教員が生徒の成績で評価されます。さらに生徒の成績が良くないと、学校に補助金が下りなくなり学校が廃止されます。そのときに公務員である教員が解雇されます。そのために、学校は成績の悪い生徒の入学を拒否するようになり、教育難民ともいえる子供たちが発生します。


 経費を極限まで切り詰めた公設民営学校は、カリキュラムをビデオで見せるだけのものに変貌していきます。まさに教育が崩壊していくのです。


 ここまで市場原理主義が浸透し、本来であれば競争とは相容れない教育にまで費用対効果を求める新自由主義とは何なのかを考えさせられます。


 よろしければ、こちらのくりっくをよろしくお願いします。

〔重版予約〕日本が売られる/堤未果【1000円以上送料無料】

価格:928円
(2018/10/24 11:24時点)
感想(0件)