JA改革に当事者が反対しているというニュースを見て、何が起こっているのかを調べようと思ったが、構図があまりにも単純だった。
 目的は「国内農業の競争力強化」だという。このようなことは、日本の国土ではできるはずが無い。なぜなら、日本の国土の4分の3は山地であり、農業に向いている平野は4分の1しかない。約38万キロ平方メートルしかない国土の4分の1しかないのだ。従って、大農法で農産物の大量生産を行っている米豪さらには、広大な国土を持つ中国に対抗するすべは最初から無いからだ。狭い耕地で手間隙をかけて効率的な収穫を行う集約農業では、大農法で行う大量生産の農作物に価格で勝負することはできない。また、消費者が価格を考慮することなしに消費活動を行うとは考えられない。従って、オーストラリアとのEPAに対抗するには、政府が農家に補助金を出し、日本の農産物の価格を政策によって下げるという方法しか考えられない。つまり、農協の改革によって競争力が強化されることは無い。すでに目的と手段の間の関連性が薄い・弱い改革なのだ。
 その改革(改悪)の内容は
 ・「JA全中は農業振興のためのシンクタンクや社団法人などとして再出発するよう促している。」

 ・「 各地の農協から農産物を集めて販売する全国農業協同組合連合会(JA全農)については株式会社にする案を盛り込んだ。」
 というものだ。
 結局は、小泉首相のときから変わっていない、新自由主義に基づく何でもかんでも民営化という政策に過ぎない。郵政民営化では、華々しく衆議院を解散して国民に信を問い、選挙で大勝して改革を断行したが、現在の郵政公社はどうなっているか。元々、郵便・郵貯・簡保の3つの複合的な業務を行い、独立採算で運営していた郵便局が、今は2014年の「中間決算で365億円の営業損失」となっている。民営化自体が失敗しているのではないのか。さらには、郵便に関しては、民営化をすること自体に賛否があり、イギリスでは国営のままだ。民営化をする業種は、適否を考えなければならない。
 このように、なんでもかんでも民営化する新自由主義的な経済政策は成功するとは限らない。JA改革にしても、目的と手段とのずれの大きさを考えると、成功する確率は低いだろう。