昨日、投票率の下限の定めのない問題だらけの国民投票法が可決されたが、そのスピンアウトを狙いながらも、本気で福島の原発事故の火消しに躍起な政府と、ネトウヨのご用達である産経新聞。記事を出すたびに世間に恥をさらし続けているわけだが、科学的な態度にも問題がある。この新聞は、体裁だけを一般紙にまねたゴシップ紙なのだろうか。
 科学的な態度というのは、たとえば、幽霊は存在するかという問いですぐにわかる。存在を証明できているのであれば、存在するが正解になる。目の前に呼び出すことに成功すれば、証明の完了である。では、ないことの証明はどうすればよいのだろうか。これは、それぞれの事象が、幽霊ではなく別のものであることを証明できればそれでよい。悪魔の証明といわれており、幽霊には様々な形態があるので、全てつぶさなければならないので、ないことの証明はとてつもなく困難である。したがって、幽霊を呼び出すことに成功していない、全ての事象について否定できていない場合は、わからない、というべきである。これが、真摯な科学的態度というものである。
 さて、産経さんは、「美味しんぼの鼻血の描写」は、科学的根拠がないと言い切っている。低線量の内部被曝に関しては、人体に様々な箇所が少しずつ破壊されるので、鼻血の原因となる様々な事象をしらみつぶしに調査し、全てが関係ないという証明が必要になる。そこまで、調べたのだろうか。関係ないと言っている学者を連れてきて、そう言わせているだけではないだろうか。また、実際に描写が事実であるのかどうかについても、調べているのだろうか。福島原発でばら撒かれた放射が蓄積している、低線量被曝をし続けている人たちを取材した上で、そのような人はいないといっているのだろうか。

 福島のかたの国会での証言。http://www.youtube.com/watch?v=k7kZRRkR6Xg

 放射能との関連は不明だが、福島の子供たちが震災後に突然鼻血を出すことは事実のようだ。したがって、美味しんぼで問題になる前から、福島や原発近辺に住まれている方々が鼻血で悩んでいることを否定することは誰にもできない。また、専門家の中には、低線量被曝と鼻血の関連性を指摘する医療の専門家すら存在する。自信をもって、低線量被曝と鼻血は関係ないと言い切っている専門家は、どこまで理論的な反論をつぶせているのだろうか。声高に叫んでいるだけでないことを祈る。
 ここまで述べてきたように、低線量被曝と鼻血の関係を否定することは容易ではない。また、過去の事例と今回の福島の事例において、鼻血に関しては地域的に特殊で特徴的に現れている事象である。したがって、関連性に関しては、あると考えて調査すべきではないだろうか。今の段階では、わからないことを調べもせずにないと決め付ける、科学的な態度が皆無の宗教の信者みたいな態度はいかがなものか。

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140513/dst14051312110006-n1.htm

閣僚から批判相次ぐ 復興相「風評被害招く」
2014.5.13 12:11
12日発売の小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味しんぼ」の一場面(宮崎瑞穂撮影)

12日発売の小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」に掲載された漫画「美味しんぼ」の一場面(宮崎瑞穂撮影)

 小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」の漫画「美味しんぼ」で主人公らが東京電力福島第1原発を訪問後に鼻血を出すなどの描写があった問題について13日、閣僚から批判が相次いだ。

 根本匠復興相は記者会見で「漫画とはいえ、地元の不安や風評被害を招きかねない内容で、誠に遺憾だ」と述べ、「今後も関係省庁や自治体との連携を密にしながら、不安の払拭に努めたい」と強調した。

 太田昭宏国土交通相は「言論の自由は大事だが、福島に住んでいる人の心情を理解する必要がある」と指摘。下村博文文部科学相は「被曝の影響については、科学的知見に基づいて伝えることが重要だ。風評被害が広がらないよう文科省としても説明していきたい」と述べた。