へっぶしんのニュースや日記です。

 今朝は、昨日野田首相が行った朝霞公務員宿舎の凍結についての社説が多い。読売、産経、東京新聞をそれぞれ読んでみたが、一番まともな記事は東京新聞だ。ついで、読売新聞、むごいのが産経新聞の主張だ。

 内容については順次コメントしたいが、東日本大震災の緊急時にもかかわらず、どさくさにまぎれてとんでもないというのが、各社の共通認識のようだ。しかし、朝霞の公務員宿舎の廃止に言及しているのは東京新聞のみで、読売・産経はあくまでも東日本大震災の緊急時には公務員宿舎の建設をすべきでなく、ほとぼりが冷めるまで待つべきといった主張のようだ。

 また、増税問題も絡んでくることで、問題が多岐にわたっており、微妙なニュアンスにも気をつけて読みたい。

公務員宿舎 凍結でなく原則廃止に(10月4日付・東京新聞社説)

 野田佳彦首相が安住淳財務相に対し、埼玉県朝霞市の公務員宿舎建設を少なくとも五年間は凍結するよう指示した。一歩前進だが、建設再開の可能性が残る凍結ではなく、廃止を原則とすべきだ。

 東日本大震災の被災者向け住宅の整備が遅れる中、なぜ公務員だけが優遇されるのか。そんな国民の率直な気持ちを受け止めないわけにはいかなかったのだろう。

 国会などで建設再開が問題視された朝霞の公務員住宅は、米軍基地跡地に十三階建て二棟、計八百五十戸を建設する計画で、総工費は百五億円だ。

 二〇〇九年十一月、行政刷新会議の事業仕分けで公務員宿舎の在り方を検討する間、事業を凍結するとされたが、所管する財務省が昨年十二月に事業再開を決め、今年九月から工事が再開された。

 震災で財政状況はこれまで以上に厳しさが増し、震災復興のため国民に増税を強いなければならない状況だ。社会保障財源の確保や財政健全化のための消費税率引き上げの動きも加速している。

 民間では社有社宅を廃止したり、借り上げ社宅への転換を進める企業が多くなっている。そんな時代になぜ巨額の税金を使って公務員宿舎を自前で整備する必要があるのか。建設再開の背景に、国家公務員は別格だという特権意識があったのなら見過ごせない。

 財務省は、十二カ所の宿舎を廃止し、跡地売却収入から朝霞の宿舎建設費を差し引いた十億〜二十億円の税外収入が確保できるとして理解を求めていたが、震災後のより厳しい財政状況は考慮されておらず、踏み込んで計画を見直すべきだった。

 安住氏は東京都中央、港、千代田三区の公務員宿舎は危機管理用を除き原則廃止することや幹部用宿舎は建設しないことも提案し、首相は了承した。当然の判断だ。

 ただ、朝霞宿舎の建設凍結が五年間とされたのは、震災の集中復興期間だからだという。これでは五年後に建設を再開すると言っているようなものだ。

 そもそも公務員宿舎が必要なのか、本質論から議論すべきだ。もちろん必要な宿舎もあろうから、朝霞を含め原則廃止とし、危機管理や勤務形態上どうしても必要な戸数だけ最小限整備すればよい。

 それ以外の宿舎用地は売却し、増税による国民負担を少しでも圧縮すべきだ。朝霞宿舎建設の五年間凍結を増税のためのアリバイにしてはならない。

 まずは公務員宿舎は、特権階級の象徴ではないかと考えるので、凍結ではなく廃止に言及しているこの社説は一定の評価を与えてしかるべきと考える。しかし、国家の財政状況の悪化が止まらないという問題意識はよいのだが、そこでの増税が消費税に限られているかのような記述があり、これが残念だ。東京新聞のほかの記事も参照したが、税制についての具体的な提言が見当たらなかったのが残念だ。消費税の増税の話が出てくると、決まってヨーロッパ諸国との比較が始まる。しかし、ヨーロッパの税制は、個人の所得税においては累進課税が日本よりもきつくなっていることを書いて欲しいものである。また、法人税についても、他の先進国と比較する時は法人税単体についてのみでしか語られない。法人税についても、会社負担の社会保障と含めて他国と比較して欲しいものである。ヨーロッパ諸国の法人税のみを比較すれば、確かに日本の法人税は高いが、社会保障負担を含めた実行税率では、日本はけして高くない。このことを指摘する大手新聞は皆無に等しい。(東京新聞は地方紙だが。)財政を語るときは、正確な国際比較が必要だ。

朝霞公務員宿舎 説明不足が招いた建設凍結(10月4日付・読売社説)

東日本大震災の復興と被災者支援に取り組んでいるさなかである。建設を見合わせるのは、やむを得まい。

 建設の是非が焦点になっていた埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎「朝霞住宅」は、少なくとも集中復興期間の5年間凍結することで決着した。野田首相が、安住財務相に指示した。

 先の臨時国会で自民、公明両党が建設見直しを求めていた。

 ねじれ国会では、自公両党の協力が欠かせない。復興策を柱とする第3次補正予算編成に関して3党協議を呼びかけている以上、国会対策の上でも建設凍結が必要と首相は判断したのだろう。

 先月着工した朝霞住宅は、13階建て2棟の計850戸で、建設費は約105億円に上る。

 周辺の宿舎を廃止し、建設費を上回る売却益を得る計画だ。850戸のうち半数以上は単身者用で幹部官僚ではなく、自衛官や警察官らの入居を想定している。

 老朽化した宿舎の建て替え自体は、おかしなことではない。

 問題の発端は2009年11月、行政刷新会議の「事業仕分け」にある。朝霞住宅を含む国家公務員宿舎建設が問題になった。枝野経済産業相は当時、一部を除き公務員に宿舎を提供することに「合理性」はないと強く批判した。

 政府は、賃貸住宅の借り上げや家賃補助など他の支援策もあることから、朝霞住宅を含む計画を凍結し、再検討することとした。

 ところが、政府は昨年12月、5年間で国家公務員宿舎を15%削減する方針を示す一方で、朝霞住宅建設の凍結解除を決めた。

 首相が財務相時代に財務省の政務三役を中心に検討した結果だが、建設する「合理性」を国民に十分説明してこなかった。

 その後、震災が起き、被災者の住宅確保が優先課題となった。朝霞住宅については何事もなかったかのように計画を推進しようとしたことが、国民に不信感を抱かせ、混乱を招いたのではないか。

 安住財務相は朝霞住宅の方針転換に合わせて、東京都中央、港、千代田3区の公務員宿舎は危機管理担当者用を除き、原則廃止、売却する意向を示した。幹部用宿舎は建設しないという。これで、野党側にも理解を得たい考えだ。

 自民党には、今回のてんまつについて「ぶれる政治の一端」と冷ややかな見方がある。だが、状況に応じて従来の政策を柔軟に軌道修正するのは、大切なことだ。

 それが、政権運営の“安全運転”も可能にするだろう。

 この社説は注意して読まなければならない。開口一番、「建設を見合わせるのは、やむをえまい。」である。また、「建設する「合理性」を国民に十分説明してこなかった。」という記述もある。結局は、公務員宿舎の建て替えには反対ではないのだ。あくまでも、今回の東日本大震災の緊急時には不適切だという論旨だ。また、結びは「それが、政権運営の”安全運転”も可能にするだろう。」である。結局は政権に擦り寄り、さらにはその後ろに控えている官僚に対して遠慮しているのだ。社説であるにもかかわらず要旨は1行だけ。ことの経緯を淡々と記述しているだけで、主張というものがほぼない。誰に向かってかかれたものかといえば、政府要人と官僚だろう。多くの一般の読者を無視している点で、この会社は大丈夫か?という疑問をもってしまう。それでも産経よりはまともなのだが。

公務員宿舎凍結 政治家も身削る姿見せよ(10月4日付・産経・主張)

 批判が強まっていた埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎建設について、野田佳彦首相が5年間の凍結を決めた。当然の措置だが、あまりにも遅きに失していないか。

 政府は東日本大震災に伴う復興増税などで新たな負担を国民に強いようとしている。ならば、宿舎問題にとどまらず直ちに公務員人件費や国会議員定数削減などに着手する必要がある。政治家や公務員がまず自ら身を削る姿勢を見せなくてはなるまい。

 3LDKで家賃4万〜5万円などとされる朝霞の宿舎建設は、公務員の利便を図るため、建設費105億円をかけて行われる。その一方で、大震災で家族や家、職業を失った多くの被災者たちが深刻な窮状を訴えている。

 首相は内閣の最大の使命について「復旧・復興の加速化」と述べている。だが、先の臨時国会では、建設計画について「特段、変更するつもりはない」と答弁していた。その後、与野党や国民の反発を受けてようやく方針転換したというのでは情けない。

 3日の建設地視察後の安住淳財務相との協議では、東京都千代田、中央、港3区の宿舎の原則廃止・売却方針でも一致した。

 危機管理用の宿舎は必要だが、各省庁でどれだけの戸数が要るのか十分に詰めるべきだ。家賃補助など、事業仕分けでも指摘された宿舎に代わる方式も再検討してほしい。財務省内に研究会を置いて見直すやり方では、手前みそにならないか。

 議員歳費を毎月50万円削減する措置は9月末までの6カ月で打ち切られた。先の国会で一部の政党から延長法案が出されたのに、多くの政党や政治家が口をつぐんだ。これでは、公務員人件費の削減を断行するにも腰が引けよう。政党助成金も見直すべきだ。

 定数削減では民主党が衆院80、参院40削減をマニフェスト(政権公約)に掲げ、自民党も国会議員総定数72減などを公約してきた。だが、具体的な法案化作業は先送りされてきた。

 各党の利害が絡んで調整は簡単ではないが、それを理由に立法府が自らを律することができないというなら、被災者や国民の不信は増すばかりだ。民主、自民両党幹部は次期国会や来年の通常国会までに実現する考えを表明している。早急に与野党協議で具体案をまとめなくてはならない。

 公務員宿舎の建設凍結から、公務員人件費、議員歳費、国会の定数削減に言及しているのだが、比較対照がバラバラで支離滅裂である。公務員宿舎については、先にも述べたが、あまりにも特権的な扱いであるので必要最低限にとどめるべきというところは納得できる。

 しかし、公務員人件費については、国際比較が必要だ。果たして日本の公務員人件費は高いのか。この疑問を解決するには他国と比較するしかない。必要だを乱発しても全く説得力がない。検討しなければならないのは、あくまでも民間とかけ離れた特権的な扱いである。つまり、公務員制度のあり方こそが問題であり、天下りやさらには渡りなどで、一部の高級官僚が税金から退職金を何度も受け取り、さらに仕事をせずに財団法人・公益法人に職を得ていることが問題だ。また、この天下り問題は、キャリアが定年をまっとうできない環境にあることも原因の1つになっているだろう。ただ闇雲に、公務員をキャリアもノンキャリアも混同して論じる公務員の人件費の語り口には全く同意できない。

 次に、議員歳費と国会の定数削減だが、まず第1に、行政府と立法府を混同している。ここも、話が支離滅裂だと指摘する所以である。また、議員歳費については、問題は正しく使われているかということではなかろうか。個人的には、今の日本の問題点は、強力な行政府に対して立法府の意向があまりに通らない状況にあると考えている。つまり、国会議員が正しく活動できているか。国会議員の数は足りているのかという問題に帰着する。議員歳費を有効に使っていない、私服を肥やすような議員がいるとしたら言語道断である。問題意識がずれている感が否めない。また、議員削減に対しては、国民1000人あたりの議員数をきちんと比較した上で論じる必要があるが、これを全くやっていない。それでは説得力がない。

 結局のところ、問題点の切り分けが全くなされておらず、ただただ無分別に羅列しただけで、論理性が極めて低いといわざるをえない。

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